アクシィとキャティアの航海日誌

仮想世界のディレッタント、アクシィ・オーキドと、キャティア・イクストルの旅路の記録。「さあ、行こうか」今は、PSO2、シップ1(フェオ)を旅しています

【PSO2・航海日誌】【ショートストーリー】第二章 Purification work of justice 前編

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はじめに・・・(注意事項)

 

※この記事は、PSO2ファンタシースターオンライン2)の世界感に、著者:アクシィ・おーきどの独自見解、キャラクター設定などを組み込んだ二次創作になります。ゆえに、ファンタシースターオンライン2に登場する固有名詞、ストーリー、設定などの著作権は全て株式会社セガゲームスにあります

 

原作はあくまでPSO2ファンタシースターオンライン2)です。著者と読者様の間の原作に対する理解の相違、拙作の至らぬところなど感じられると思いますが、こちらに関しては、文責は著者:アクシィ・おーきどにあります

 

無断転載並びに再配布は固く禁止します

 

※おかしなSF考証や、つっこみなど、固有名詞がおかしいなど多々気づくと思いますが、こちらも、文責はすべてアクシィ・おーきどにあります(セガは関係ないってことですよ!

 

★登場人物

アクシィ・オーキド:第一船団所属のアークス、キャスト

キャティア・イクストル:第一船団所属のアークス、ヒューマン

クレイオ・アドラー:第一船団所属のアークス、初陣でキャティアとアークスに助けられた新人アークス、ヒューマン

ハルナ・ラン:第一船団所属のアークス、クレイオのバディ、ニューマン

シン・マクガイヤー:宇宙海軍第一艦隊、遊撃分艦隊、駆逐艦”アルタイル”艦長、中佐

 

では、本編は折りたたみますね

 

  第二次【巨躯】戦役……アークスにとって不倶戴天の敵であるダーカー、それらを統べるダーク・ファルスの襲来。多くのアークスが、小天体…否、惑星クラスの質量をもつ【巨躯】に立ち向かい、宇宙塵となったアークスも少なくなかった。

 

 「ふっふっふ、何用かね?」

 キャティア・イクストルは、アイテムラボ――アークスの武装を強化カスタムする部署―そこの担当官に、手持ちの武器の強化を依頼するところだった。彼女と、彼の相棒、アクシィ・オーキドは生還できた。彼らの分隊は、十数体のファルス・アームを駆逐したが……ほどなく、各所で注目されつつあったアークス、彼の所属する分隊が【巨躯】の中枢を撃退したと連絡があったが、犠牲は決して少なくなかった。

 「このままでは、生き残れない」

 多くのアークスに共通する意識であった。

 

 「このウォンドをカスタムするには、グラインダーと……クリップカードを出し給え、メセタはあるかい?」

 「ええ、これでいい?」

 「ふむ、では任せたまえ」

 キャティアは係官、ドゥドゥに愛用の武器であるアクローケーンを渡す。

 「なかなか酷使しているみたいだね。武器は大切に扱い給えよ」

 「反省してるわ」

 「では、そこで待っていたまえ」

 ――たとえ犠牲的な行動であっても……死んだら負けなんだよ。死なないためには、強くならなきゃいけない、強くあらなきゃいけない、でなければ……

 「あ、ドゥドゥさん、完了したの?」

 「素晴らしく運がないな君は!」

 「……っ!貴方の縮れ毛乗っかってるその頭をバリカンでなでてあげようか?」

 「乱暴はいけないよお嬢さん、また来たまえ!」

 

 「あ、キャティアさん!おかえりなさい」

 「ちくしょう……あのオッサンめ……今に見てろよ」

 アクシィはマイルームで彼女を迎えた。ちょうど、今日の夕食ができつつある。キッチンからは合成肉と根菜などを使った豚汁がくつくつと音を立てていた。

 「ごはんにしましょうか!」

 「アクシィ、いつもありがとね」

 「いえ、ぼく料理好きですから!」

 二人に以前の違和感はもうなく、相棒として同じマイルームで生活していた。もっとも、家事はしっかり分担していたが、料理は大体アクシィの仕事だった。二人は食卓で合成肉の豚汁と米飯の食事をとる。彼らの文化圏では一般的な食事だ。

 「この前の【巨躯】来襲は大変でしたね」

 「撃退したと発表はあったけど、撃破ではない。ということはまた来るよきっと」

 「アークスシップや、前線で迎撃に当たってた海軍の艦隊にもかなりの犠牲が出たようです」

 「艦隊……ねえ」

 「宇宙艦隊のおかげで、なんとかアークスが浄化や撃退できるレベルまでファルス・アームが漸減したんです。彼らがいなければ、多分【巨躯】の物量で……」

 「……このごぼう、おいしいね」

 「商業区で特売だったんです!水耕栽培でない逸品ですよ!」

 

 キャティアは食事が終わった後プライベートスペースで情報端末を開く。

 

 ―オラクル宇宙海軍:今回の【巨躯】来襲における犠牲者目録

 

 「ああ、あいつも逝ったのね、運がなかったね」

 その目録には、彼女の知己も少なくなかった。

 

 ――【巨躯】来襲から二ヶ月後

 <今回の任務は、惑星リリーパ採掘基地の防衛になります。多数の蟲型ダーカー、並びにダーク・ラグネ、もしくはそれ以上の大型ダーカーの存在が確認されています>

  「多数…ね…」

 ブリーフィングにおいて記されたマーカーは、無数という以外に表現のしようがなかった。採掘基地を制圧しようと向かっているのは確実で、このままでは採掘基地はダーカーの巣窟になってしまうだろう。

  「衛星軌道上からの攻撃で一掃できないのですか?リリーパは視るべき生物資源にも乏しく、この規模のダーカーの集団であれば熱核兵器や物質-反物質反応兵器、そしてフォトンブラスターで滅菌処理するべきだと思われますが……なぜわざわざ上陸してアークスを動員しての防衛を?」

  「リリーパにはリリーパ族と呼ばれる準知性体もいますし、採掘基地を失うのはアークスにとって取り返しのつかない打撃になります」

  「了解しました」

 ――非戦闘員や戦闘員のいるダンタリオンは焼き払うくせに、意図がはっきりしない採掘基地を守るのは、虎の子であるアークスが命かけて……ね

 「あなた方分隊12名は、このエリアの担当になります。防衛拠点……ラジエターを死守してください。ラジエターが失われれば、そのエリアの復旧は絶望的になります」

 

 「お姉さま!お久しぶりです!」

 「あなたは、ナベリウスで?」

 「ハルナ・ランです!あのときはお世話になりました!ともに戦えて光栄です!」

 「クレイオ・アドラーです。がんばります!」

  まだ十代だろう。少女と少年のペアがキャティアとアクシィに挨拶をしてくる。ハルナと呼ばれた少女はリベラシオン、先日の【巨躯】襲来後に開発された新型ロッドを、クレイオと呼ばれた少年はラムダアーディロウ、サーペント社製の新型ソードを装備している。これらの武器を扱えるということは、彼らも心強い戦力である証だった。

 「そっちのキャストの男の子も!よろしくね!」

 「……よろしく」

 心なしか、アクシィに対してクレイオの目線が鋭い気がするが、アクシィは表面上は気が付かないふりをした。

 「はい!よろしくお願いします!」

 (……朴念仁め!)

 

 彼らを含む分隊…12名が位置につく。遠くに黒々とした霞が見える。

 <こちら地上軍掃討部隊”サベージウルフ”、援護並びに支援攻撃を開始する。アークス諸氏は防衛位置につかれたし>

 先日二人を襲った”EU-60 ストレイキャット”の有人操縦型の編隊が上空を通過し、対ダーカー用の空対地ミサイルとロケット弾を斉射する。前方で炸裂が起こり、無数のダガン、エル・アーダが蒸発する。

 <こちら”サベージウルフ”。我々の仕事は完了した、次の支援攻撃は一二◯◯の予定。アークス諸氏の健闘を祈る!幸運を!>

 <”サベージウルフ”へ、感謝する。ご無事な帰還を>

 

 対ダーカーフォトン弾頭のミサイル、ロケットの攻撃でダーカーの進撃はかなり鈍ったが、あとは水際でアークスたちが防衛する。

 

 「来た!」

 アクシィが叫ぶ。キャティアが味方の攻勢フォトンを強化するテクニック”シフタ”を展開する。

 「攻撃開始します!」

 ハルナが、射程に入ったダガンに対し”ラ・フォイエ”を放つ。同時にクレイオがソードを構え前方に駆け出す。ラ・フォイエの直撃を受けたダガンは炎に包まれ消滅した。側面からエル・アーダが鎌を振りかざし突撃してくる。アクシィを含むレンジャー達が”クラスターバレット”や”ディバインランチャー”で攻撃、上空に吹き飛んだエル・アーダーに対し、ガンナーがコアに弾丸を撃ち込むことで次々と無力化する。

 

 「あれ…新種?」

 ひときわ体躯の大きいダーカーだ。二足歩行で、手に赤く侵食された武器を携えこちらに向かってくる。

 「ゴルドラーダ、蟲型の突撃兵ともいえる個体だ!やつは武器だけじゃなくて、拠点で自爆する性質がある。いわゆる特攻だ!食い止めろ!」

 キャティアの横でカタナを構える壮年の男性アークスが叫ぶ、キャティアが”ゾンディール”を展開、ゴルドラーダの突進が鈍ったところに、味方が”シュンカシュンラン”で切りつけ、危険な自爆を行うための爆弾でもあるゴルドラーダのコアを切り裂く。地上軍も、前方陣地で奮戦しているようだ。ガンシップや戦車が走り回りアークスたちの盾となっていた。地上軍と虎の子であるアークス、この連携によって防衛が成立する。

 「きりがないよぉ~!」

 「ハルナ!弱音はくな!あいつに馬鹿にされるぞ!」

 「あいつってだれさ!」

 「う……とにかく、ギ・フォイエたのむ!2体そっちいく!」

 クレイオの剣を躱したゴルドラーダが2体ハルナに突進する。おそらくハルナごと自爆して拠点を破壊するつもりだろう。

 「ギ・フォイエ!」

 ハルナのまわりに炎の渦が生じる、ゴルドラーダの動きが鈍る。

 「撃ち込む!」

 アクシィはコアに弾丸を叩き込む。コアが穴だらけになった一体の動きが止まり消滅する。もう一体に対しては……アクシィは愛用のライフル”ラトリアレイン”のセレクターを”full”から"Special"に切り替える。

 「ウィークバレット……」

 通常攻撃と性質の違うフォトンを弾頭に固着させる。

 「準備よし。発射!」

 一発の弾頭がゴルドラーダのコアに突き刺さり、インプラントナノマシンを通し<脆弱化成功>を示す赤いターゲットマーカーが各アークスの視界に映る。

 「くらえっ!」

 クレイオがそこに向かって巨大な青いフォトンの刀身を叩きつける!

 「オーバーエンド!」

 コアもろともゴルドラーダは真っ二つになり、消滅した。

 「クレイオさん!ナイスです!」

 「ふん、このくらい!」

 

 「今のところは……なんとかなりそう」

 キャティアは戦闘をしながら考える。このレベルであれば、あとしばらくはジリ貧になることはないだろう。所詮相手はダーカー、戦術や用兵の概念はなく、単調な波状攻撃しか仕掛けてこない。もっとも、自分たちの体力の限界もあるが、その前に次のグループに交代すれば十分持ち堪えられるだろう。そう考えていたとき

 <こちらエリア”フォックス”大型ダーカー多数!あの個体は…うわぁぁーっつ!>

 <こんなの多すぎる!防ぎきれない!助け…>

 <地上軍の部隊に支援を…>

 <ガンシップも戦車もやられた!俺たちしか…ぐがっ!>

 

 ――エリア”ジョージ”

 「聞いた?」

 「キャティアさん……隣のエリアが」

 「え?隣のエリアが!アークスのみんなは!」

 「全滅だ!」

 このエリアに迫るダーカーは、せいぜいダガンとエル・ダガン、それを指揮するエル・アーダにブリアーダ中型のグワナーダが何度かでてきたが大型ダーカーはいなかった。今回のダーカーは、一箇所のエリアに大型ダーカーを集中させ、戦力を一点集中させ防御陣地に楔を打ち込んだのだ。エリア”フォックス”が選ばれたのは、軍の支援攻撃の密度が薄いエリアだったこと。また、ダーカー撃破のペースが一番遅れていたエリアではあったが……

 

 ――浸透戦術、ダーカーが?

 

 キャティアは士官学校や大学で学んだ用兵学基礎の講義を思い出す。かつて飛行機や戦闘艇がなく、もっぱら二次元的な戦闘を行っていた時代。機関銃や砲で守られた陣地を攻撃する戦法として、脆弱な部分を歩兵で突破し、陣地の後背にまわり残りの陣地を無力化する戦術……非常に古典的な用兵で、機動戦の概念が薄かった時代の戦術だが、物量による力押しが主体のダーカーが”戦術”を用いたことに彼女は驚いた。もしかしたら、統率するダーク・ファルスがいるのか、もしくはそれ以外の理由が…

 

 <こちら支援部隊"バーベラスウルフ"エリア”フォックス”を突破したダーカー種はそのまま二手に別れた。複数の大型並びに”超大型”が二体、一体はエコー、もう一体はジョージに向かっている。各エリアのアークスは警戒されたし>

 

 「みんなわかってる?」

 「敵の本体が後ろから来る……」

 「ダーク・ラグネだろうがそれ以上のデカブツだろうが!俺達が倒してやるぜ」

 「よく聞いて、このダーカーは多分”普通じゃない”」

 「……お姉様…それって……?ダークファルス?」

 「わからない……けど、用心しよう」

 

 ――

 

 「中佐、Type-A”ダーク・ビブラス002”ならびに”ダーク・ビブラス003”予定通りリリーパ採掘基地の所定の位置へ。ダーカー種のコントロールこちらのプログラム通り、現在すべての工程においてグリーン、誤差は許容範囲内」

 「緊急時に備えての焼却処理に備え、巡洋艦ザクセン”ならびに”ハンブルク”位置につきました」

 「彼はこちらの思惑通り動いてくれてるってことだね」

 「ええ、ですが……」

 「それ以上は口を開くな」

 「アイ、サー」

 「この計画が成就すれば、アークスではなく、我々海軍、フォトンを扱うことの出来ない人間もダーカーに対し非常に有効な武器を得ることになるのだ。それがオラクルすべての安寧と宇宙の平和につながる。【巨躯】が目覚めた以上もはや猶予はない」

    「……はっ」

 「ただちに実験を開始せよ」

 (この計画が成就すれば……我々はフォトナーでもなし得なかった、ダーカーを人の手で制御することができるのだ。あの方の悲願のためにも、失敗するわけにはいかない)

 (そのためには、採掘基地の一区画と、たかだか数十名のアークスの犠牲など安いものだ)

 

 「マクガイヤー中佐、ちょっと……」

 「何か、簡潔に報告せよ」

 「それが……」

  副官は艦長……中佐の階級章を着けたヒューマンの若い士官に一枚の資料を手渡す。

 「第四次リリーパ採掘基地防衛計画人員配置図、これがどうした?」

 「エリア”ジョージ”を御覧ください」

 「……なるほど、分かった。わざわざ知らせてくれてすまんな」

 「いえ…」

 「だが任務に変更はない。記録班、準備は?」

 「完了しています」

 「では、002をエリア”ジョージ”へ移動させよ」

 「はっ!002をエリア”ジョージ”へ移動、サイコネクタフォトンコントロール機構ならびに、”コントロール・マテリアル”に異常なし」

 まだ少壮の年齢である中佐、シン・マクガイヤーは一瞬だけ瞳を細めたが、すぐに慇懃な顔にもどり、駆逐艦”アルタイル”の艦橋メインモニター、002と表示のある赤いマーカーを睨みつけた。

 

 「キャティアちゃん……すまんな」

 

 誰にも聞かれないよう注意して、彼はかつての後輩に懺悔した。

 

最後まで読んでくれてありがとう!

 

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