アクシィとキャティアの航海日誌

仮想世界のディレッタント、アクシィ・オーキドと、キャティア・イクストルの旅路の記録。「さあ、行こうか」今は、PSO2、シップ1(フェオ)を旅しています

【PSO2・航海日誌】【ショートストーリー】アクシィとキャティアの航海日誌:”序章・前篇”

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はじめに・・・(注意事項)

 

※この記事は、PSO2ファンタシースターオンライン2)の世界感に、著者:アクシィ・おーきどの独自見解、キャラクター設定などを組み込んだ二次創作になります。ゆえに、ファンタシースターオンライン2に登場する固有名詞、ストーリー、設定などの著作権は全て株式会社セガゲームスにあります

 

原作はあくまでPSO2ファンタシースターオンライン2)です。著者と読者様の間の原作に対する理解の相違、拙作の至らぬところなど感じられると思いますが、こちらに関しては、文責は著者:アクシィ・おーきどにあります

 

無断転載並びに再配布は固く禁止します

 

※おかしなSF考証や、つっこみなど、固有名詞がおかしいなど多々気づくと思いますが、こちらも、文責はすべてアクシィ・おーきどにあります(セガは関係ないってことですよ!

 

それでは、ご理解いただけた方で興味あれば、続きをどうぞ

(大体6000字、長くなって……しまった!)

 

 

序章 前編 ”違和感のある出会い”

 

「ボクは、何のために戦っているんだろう」

 新人アークスである、キャティア・イクストルは自分自身にずっと問いかけていた。決心したのは自分だ。だが、やはり腑に落ちない。多少の吐き気を伴う違和感がたしかにあった。

「イクストルさん! 後ろです!」

 彼女の相棒(バディ)として、同じく新人アークスの、アクシィ・オーキドは、アサルトライフルを手に、彼女の少し後方でエネミーに相対している。ツーマンセルで戦闘する際の戦闘教則通りのやり方だ。

「ラ・グランツ!」

 光属性のテクニックがウォンドから放出され、それを受けたダーカーが蒸発する。それをモニターしていたオペレーターは、新人とは思えない二人の動きに感嘆しつつも、疑問を抱いていた。

「あの二人、初陣とは思えませんね。どこかですでに訓練されたとしか思えない動きです」

「ああ、あの二人か。女性のほうは特例さ。男の子のほうは、ちょっと訳ありらしいけど、彼に関しては過去の経歴についてはかなりの部分が墨塗りされているんだ」

「大丈夫なのですか?」

「ま、あの様子なら、この場は問題ないだろう」

「そうですね、もし、研究室が関わっているなら深入りは禁物ですね」

 

 

 一ヶ月前

 

「この先にある惑星の強行偵察? ですか?」

「ああ、なにぶんこっちは亜空間航行中だ。もしかしたら、敵がいるかもしれない。なぁに、様子をちょっと見てきてほしいだけさ。ワープアウトする艦は格好の的だからね。」

「アイ・サー! これより小官は、惑星ダンタリオンの偵察に向かいます」

「ああ、それと、輸送艦を二隻つけよう。陸に降りる必要もあるかもしれないから、偵察機材と、陸戦隊一個小隊、それに……戦闘艇もね。目録だ、目を通して」

攻撃機フェンリルA型……あの、爆装は必要あるのですか? 偵察にあたっては過剰な火力だと思われますが?」

「念のためだ。さて、急ぎたまえよ」

「はっ!」

 心なしか、司令の老提督の目が曇ったと感じたが、すぐに横にいたニューマンの痩せた参謀がにこやかな笑顔で彼女を激励した。

「イクストル中佐、君には期待しているよ」

 

――なんか、腑に落ちないなあ

 

 キャティア・イクストル。オラクル宇宙海軍所属で駆逐艦”デネヴ”の艦長。まだ二十六歳ではあるが、れっきとした艦長徽章を持った将校である。

 

 オラクル宇宙海軍、オラクルに連なる軍事組織の一部、とは言ってもその成員はフォトンの適正がない、もしくは低い人員が中心で、ダーカーとの戦いをする”アークス”と比べれば海軍は日陰者だった。彼女は、とある理由で『アークスは気に食わない』と、オラクルでは花形であるアークスにはならず海軍に入った。ダーカーとの戦闘が激化するなか、ダーカーと戦うアークスの盾として、攻撃的な他文明、乱暴な言い方をすれば、アークスによるダーカーとの戦いの邪魔者を”こらしめる”のが、海軍の役目であった。

 

 海軍の任務も年を経るごとに過酷になった。特に最も貴重な資材とも言える”人員”の枯渇は明白で、経験豊かな将校や下士官の多くがこの50年ほどの間に多くが宇宙の塵となった。現在は、『若い将官候補を前線に送り出し、前線において経験を積ませる』という、ある意味理不尽な上層部の方針もあり、彼女のような20代の艦長、将官ですら珍しくはない。

 

「艦長、駆逐艦”デネヴ”、並びに輸送艦”デボルド”、輸送艦”クレシダ”。情報連結完了。航路情報連動完了。準備整いました」

「よろしい、”デネヴ”艦長より各艦総員へ、これより我が隊は有人惑星M-71”ダンタリオン”への偵察に向かう。諸君らの奮闘を期待する。海軍の魂を見せてやろう!」

 

「――アイアイ、マム!」

 

 号令と共に、いかにも俊敏そうな駆逐艦と、箱型の輸送艦が、戦艦や巡洋艦、空母も含んだ大型艦から離れていく。

 

「”デネヴ”艦長より総員へ、到着は十六時間後の予定。警戒レベルを三から四へ変更。亜空間航行当直の人員以外は休息を許可する。――っと、飲酒はだめだからね!」

「えぇーっ!!」

「いいじゃないですかぁ」

「どうせ亜空間飛行中は敵襲なんてないですってば」

ダンタリオンだって、小さなテラ・フォーミング用のコロニーがあるだけで、他にはなんにもないし、気楽に行きましょうよ」

「だめだ!ボク……私だって我慢するから、みんな任務完了の美酒を楽しみにしようね」

「アイ、マム。艦長のそういった真面目なとこ、俺好きですよ」

「な……何を言うの!拷問するよ!」

「冗談ですよぉ」

「艦長かわいい~」

「私は……寝るっ!」

「アイ、マム。おやすみなさい、艦長」

「みんなも、休めるときに休んでね」

 

――

 

「――亜空間航行エンジン、出力をワープ2からワープ1へ、あと10秒」

「慣性ブレーキ、全艦連動完了」

「通常空間転移まで、三、二,一、転移!」

 

「気持ち悪い星……だね」

「惑星ダンタリオンハビタブルゾーン内の岩石惑星ですが、表面の8割以上が海で、大陸は1つのみ。テラ・フォーミング計画が進行中ですが、進捗は思わしくないようですね」

「この状況下ですから、テラ・フォーミングなんて予算降りるご時世じゃないですよ」

「そんなことより、通信手、コロニーの管制と通信回路を」

「アイ、――あれ?おかしいな」

「艦長、繋がりません!」

ダンタリオンコントロール!応答せよ。こちら海軍第一艦隊所属、駆逐艦”デネヴ”。コントロール、応答せよ!」

「”クレシダ”へ打電。自律偵察ビーコンを撃ち込め」

「艦長……まさか……」

「嫌な予感がするね」

 

輸送艦”クレシダ”から、円筒状のカプセルが二つ、惑星に撃ち込まれた。自律偵察ビーコン、遠隔カメラだけではなく、大気成分やフォトン濃度などの計測もできる本格的なものだ。

 

「ここは司令に感謝ね。惑星大気圏から二天浬まで接近。それ以上は近づくな」

 

「ビーコンから情報並びに映像入ります……これは!」

「艦長……フォトン濃度並びに空間許容域がコードDレベル2です!」

「ダーカーの……侵食?」

「ばかな!ここはダーカーの活動域からは離れているのに、どうして?」

 

コードD、つまり、ダーカー因子の侵食が認められる。こうなっては、フォトンを直接扱えない海軍の兵器では、ダーカーを物理的に破壊したとしても一時しのぎにしかならない。ダーカーを完全に消滅させられるのは、アークス、アークスのもつ”フォトン”だけなのだ。

 

「レベル2ということは、まだダーカー種は出現していないんだね」

「そうみたいですが、いつまでもつか……」

「”クレシダ”へ打電、陸戦隊を降下させてコロニーの生存者を探せ」

「こちら”クレシダ”!もう総員準備できてます!いつでもいけますぜ!」

「よろしい、降下して生存者を救出せよ、ただし、無茶はしないでね」

「アイアイ、マム!」

 

 輸送艦”クレシダ”が大気圏に突入する。クレシダは大気圏突入可能な”ヒルデスヴィーニ級”なのが幸いした。陸戦隊は対ダーカー用のフォトン兵装をもってはいるが、海軍仕様は、アークスとは違い、対ダーカーの戦闘能力は限定的である。戦闘員自体が侵食されるという危険もある。だが、”危険を冒し、窮地の生存者を救出する”という使命感、もしくはヒロイズムというものが隊の全員を奮起させていた。

 

「通信手、超光速通信、旗艦”ヘイムダル”に緊急打電。惑星M-71においてコードD。平文でいい!急げ!」

「アイ!」

 

――

 

「こちら”クレシダ”陸戦隊!小隊長のコバヤシ少尉であります!生存者を発見!無事なシェルターに隠れていました。大丈夫!人数は121人、これなら積めます!」

「わかった!艦に戻れそう?」

「大丈夫です!フォトンカウンターの針はまだ振り切れてない!ダーカーに侵食された防衛マシナリーはいましたが排除!隊はみんなピンピンしてますぜ!」

「了解した。急いでね」

 

「艦長!ヘイムダルより、緊急通信」

「読んで」

「はっ……えっ……?」

「どうしたの?」

「これは……『即座に”トラブルリスト・ケースD”を実行せよ』」

「ケースD! つまり……”クレシダ”のみんなも生存者もまとめて、地上を全火力で焼き払えって言うの?他には?」

「……ありません」

「なんてこと……」

 

 ケースD、つまり、現有戦力でダーカー因子のこれ以上の侵食を物理的に食い止めるために、全火力で侵食地点を攻撃せよ。事実上の滅菌作戦の指示である。この命令が出た時点で即座に実行が原則である。当然、駆逐艦といえど、小型コロニーを焼き払えるだけの火力は有している。また、もう一隻の輸送艦”デボルド”には、核融合ミサイル”バルムンク”を装備した攻撃機フェンリルAが二機。バルムンクの出力はTNT換算で475キロトン、巡洋艦ですら一撃で砕く破壊力を持っている。コロニーや輸送艦などひとたまりもないだろう。

 

 彼女は、右手の人差指を鼻の下に添えた。悩んでいる際の彼女のクセである。

 

「……艦長。”デボルド”より入電。攻撃機アルファ、ブラヴォーとも出撃準備完了とのことです」

「艦長……?」

「……出撃は禁じる。そのまま待機」

「艦長!」

「キミは……命をかけた味方や、非戦闘員を熱核兵器で焼き払えるの?」

「ダーカーとの戦いは最優先事項です!」

「……ボクは、そんな命令できるほど……冷酷にはなれない……」

「私だってこんな命令は嫌です!でも、命令なんです!」

 

 彼女は決して箱入り娘のお嬢様ではない。それなりの訓練、修羅場をくぐり抜け、命の危険に晒されたことも一度ではない。でも、彼女には意味がわからなかった。命令の意図を理解しようと努めた。だが、どう考えても理不尽だ。侵食を防ぐしてもまだ時間はあるはずだ。とにかく味方ごと即座に焼き払え。その意図を、少なくとも彼女は理解できなかった。

 

 だが、命令という名のつくものは、こと軍隊においては、フォトナーの時代から、それを受けるものに対しては絶対である。こと、彼女は将校、艦長として苦楽をともにした駆逐艦”デネヴ”一三七名の乗組員達に関しての責任もある。命令への理不尽さ、違和感、部下への責任が彼女の決断力を鈍らせていた。

 

「こちら”クレシダ”!離陸準備完了!ブースター正常、大気圏離脱シークエンス開始!」

「現在、コードDレベル2、しかし、汚染度上昇中、空間許容範囲を超えるまで、推定四分!」

「艦長……決断を!」

「”クレシダ”上昇開始、エネミーの追撃なし!対空攻撃なし!三分二十秒後に安全空域に達します」

 

――

 

「艦長、”デボルド”より入電。アルファ、ブラヴォー共々、マシントラブルで出撃不可能とのことです。パイロットからメッセージが『我が大剣は友軍をなぎ倒すためのものにあらず。”デネヴ”艦長の決断に敬意を表する』 とのことです」

 

 一瞬だけ、”デネヴ”艦橋の空気が弛緩した。だが、これは、命令違反以外の何物でもない。その意味は、全ての人員が理解していた。軍隊において、命令違反は重罪である。その行き着く先を知らない者はいなかった。ただ、漠然とした安心感だけはあった。

 

「ごめん……”ヘイムダル”には『我、命令の実行能力なし』と伝えて……」

「はっ」

 

(艦長も……俺達も、どうなるのかな?)

(良くて失業。下手すりゃ監獄……銃殺?)

(でも、あの命令は、まともな人間に実行可能な命令じゃないよな)

(てか、なんで即座に焼き払えなんて命令が?なにか塗りつぶしたい機密でもあったのか?)

(事実を知っている人間ごと焼き払いたい機密……まさかね)

 

 小声でスタッフ達が話をしている。でも、もはや彼女にはなにも聞こえてなかった。

 

 その後、第一艦隊本隊の先遣隊が到着、巡洋艦の艦首砲、高圧縮したフォトンによる攻撃で地上の浄化処理が行われた。また、救出したコロニーの住民は、空母”アングルボダ”に移乗させられた。

 

「イクストル中佐……残念だ…」

「申し訳ございません。閣下」

「実は、この命令は、私より上位の機関から出た命令でね。もう私にはどうしようもない」

「閣下より上位……では……」

「そこから先の詮索は禁物だ。君は自室で謹慎したまえ。憲兵による手続きが完了次第、軍法会議にかけられることになるだろう。何か言っておきたいことはあるかね?」

「……ありません」

「……すまない」

 

――

 

 空母”アングルボダ”の一角に、厳重に封鎖された一角が存在した。ゲートには、現役のアークス戦闘員が警備を行い、完全に他の部分とは隔離された一角だ。水兵達は、例の”研究室”からの出向員が何やらあそこで怪しい実験をしていると噂するものがいたが、研究室に関わったものたちの末路を思うと、誰も深入りしようとはしなかった。

 

「ま、多少のトラブルはあったようだけど、ダンタリオンの施設は、もう跡形もないんだよね?」

「はい。汚染度は上昇しておりましたが、大陸ごと艦首砲で、残留ダーカー因子も許容範囲内です」

「うん、まあいいか。で、生き残りはいるの?」

「残念ながら」

「都合のいい実験材料が百体以上タダで手に入ったんだ。そこは優柔不断な中佐殿に感謝しようじゃないか」

「すでに、全員を強制的にコールドスリープに、尋問などをされる心配はないでしょう」

「ふん、で、その中佐殿は?」

「機密保持の観点から、命令違反と敵前逃亡、それだけあれば口封じは容易でしょう」

「……データをとられてはいないだろうね?」

「問題ないはずです」

「ま、あそこでの研究は正直暇つぶしだった。僕の悲願から比べれば、些細な暇つぶし。マリアやレギアスがうるさいだろうけど、そのあたりはカスラに任せようか」

「乗組員は?」

「面倒くさいなあ。そのくらい君たちで考えたまえよ。ん?彼女……なかなか逸材じゃないか。なんでアークスじゃなくて海軍なんかに?」

「不明ですが、何か?」

「面白そうだねえ……そうだ。こんなのはどうだい?おもちゃは大事に扱わないと、壊れるまで、ね」

 

――

 

キャティア・イクストル中佐。主文、被告を予備役扱いに、それに伴い、アークスへの出向を命じる」

「……」

「何か言いたいことはあるかね?」

「部下たちは、乗組員はどうなるのですか?」

「機密保持規定への同意が必須だが、そのまま原隊に帰ることになるね」

「……はっ」

 

――

 

(10代の子ばっかり……ま、当然か)

 

 新人アークスである、キャティア・イクストルはそのまま、アークスに入隊した。もっとも、アークス養成学校での雑多な過程は省略され、そのままの実戦配備である。ただし、最初の任務は、アークスの慣習通り、新人同士のツーマンセルで、オペレーターや教官がサポートするという形になる。

 

「あの人……なんか老けてない?」

「おばさん……www」

「私達と一緒なんて、何かやらかしたのかしら?」

 

(聞こえてない、聞こえてない……慣れなきゃ。そう、慣れるんだ……)

 

「新たに誕生するアークスよ。今から諸君は、広大な宇宙へと最初の一歩を踏み出す。覚悟を決め、各々のパーソナルデータを入力せよ。我々は、諸君らを歓迎する」

 

(六芒均衡、レギアス……)

 

――

 

「……あの?」

「……えっと、あのぅ」

「ん、キミは?」

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「はじめまして!ぼくはアクシィ・オーキド!クラスはレンジャーです。この度キャティア・イクストルさんと相棒(バディ)を組むことになりましたっ!!よろしくお願いします!精一杯頑張ります!」

 

二人の航海日誌は、ここから始まった

 

 

あとがき

ごめんなさい!なんか、暗い滑り出しでした。序盤一発目から大風呂敷広げすぎた!!ま、序章では、アクシィとキャティアの出会いを綴りたいな、と思います。おわかりの通り、キャティアは”暗い”ですよね。闇というか、ものすごく唐突な修羅場!!で、うじうじした女になっております。

 

でも、これは本来のキャティアのキャラクター設定に基づいた性格なんです。チャットドラマやゲーム内での振る舞いにいかに変化したかは、これからつづいっていこうと思います。

 

序章ということで、ちょっと説明的な部分と、また、アクシィは素人ですから、小説作法とか、勉強はしたけどまだ不十分で、乱文ではありますが、もしよければ、今後見守っていただければと思います

 

3行でおk!

 

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最後まで読んでくれてありがとう! 後編はプロットはできてます。もうちょっとシンプルな感じになると思うよ